ブッシュ 孝子。 ブッシュ孝子〈あやまちは人間をきめない〉

宮沢賢治やリルケなどを愛読し、かねて「童話を書いてみたい」と願っていた彼女は、73年9月から詩をつづり始めた。

(pp. さびしいのはよくないことのように感じられます。

その交響楽に身をゆだねる。

未知の他者が流した不可視な涙によって私たちは、自分の知らないところで救われているのかもしれない。

157)さて、ブッシュ孝子が亡くなる半年前に生まれた「甥」の方が運営するサイトでは、彼女について、 ブッシュ孝子は、1945年(昭和20年)3月、服部一雄・和子夫妻の長女として誕生しました。

誰に聞かせるのでなくていい。

その詩は合唱曲になったり、雑誌で取り上げられたりもしたが、詩集は絶版となり、やがて日の目を見ない時間が続いた。

書くことすら、どこかで諦めていたかもしれない。

あなたは一人ではないのだと未来に向かって言葉を書き送ってください。

同書のおわりに、若松さんはそう記している。

私は彼女の言葉に救われたのである。

発行日: 2020年04月10日 ISBN: 9784787720078 168ページ 暗やみの中で一人枕をぬらす夜は 息をひそめて 私をよぶ無数の声に耳をすまそう ……夜の闇にこだまする無言のさけび あれはみんなお前の仲間達 暗やみを一人さまよう者達の声 沈黙に一人耐える者達の声 声も出さずに涙する者達の声? 苦しむ人間の姿を語りながら神谷は、『こころの旅』である女性の詩を引いた。

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〈無声慟哭〉ののちに「私」に彼方から聞こえて来た無数の声。

暗やみの中で一人枕をぬらす夜は 息をひそめて 私をよぶ無数の声に耳をすまそう 地の果てから 空の彼方から 遠い過去から ほのかな未来から 夜の闇にこだまする無言のさけび あれはみんなお前の仲間達 暗やみを一人さまよう者達の声 沈黙に一人耐える者達の声 声も出さずに涙する者達の声ここに記されているのはひとりの性の経験でありながら、言葉は、普遍の領域を指し示している。

感銘を受けた若松さんは、自身の著書や講演などで彼女の紹介を続けた。

ーーー新泉社 紹介文ーーー 誰でも、年齢を重ねれば危機と呼ぶべき時節に至る。

死の直後に出された唯一の詩集から半世紀近くを経て、未発表の作品も収められる。

なぜなら、この世で悲しみを知らない者など存在しないからである。

——若松英輔 夜の闇にこだまする無言のさけび——。

孝子の全ての詩が、残されていた。

孝子は、1973年(昭和48年)9月9日から、詩を書き留めるようになりました。

この本に収録されている「ものさし」という詩を読んで、思い出したことがある。

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とても好きです。

この詩を声に出して読む勇気がわたしにはあるだろうか? あやまち ブッシュ孝子 あやまちは誰でもする つよい人も弱い人も えらい人もおろかな人も あやまちは人間をきめない あやまちのあとが人間をきめる あやまちの重さを自分の肩にせおうか あやまちからのがれて次のあやまちをおかすか あやまちは人生をきめない あやまちのあとが人生をきめる. そこには次のように書かれてあった。

かつて河合隼雄氏、神谷美恵子氏が著作で紹介し、多くの読者が復刊を待望するブッシュ孝子の詩集を、未発表の作品も収録し刊行。

作者はブッシュ孝子(一九四五〜一九七四)という。

本書より 誰でも、年齢を重ねれば危機と呼ぶべき時節に至る。

しかし、母の答えを聞いて、時と場合によっては、矛盾したままで良いケースがあるのだと気が付いた。

「声も出さずに涙する者」とあるように、悲しみの底にある者は涙の彼方で生きている。

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